怒涛の痴畜彩17時

ハロヲタのための24のガヴォット第17番変ホ長調 欲望の循環系

塩化水素

chisato00172011-11-13


(1)分子式が HCl で表わされる物質は何か
答は 塩化水素 であって 塩酸 ではない。
塩酸 というのは塩化水素の水溶液のことである

ちょっと前の小学校の教科書には

塩化水素の水溶液のことを塩酸という

というふうに書いてあったし
今でもおそらく書いてあるんじゃないかと思う

硫酸や硝酸はそういう名前の化合物が存在するけれど
塩酸という化合物は存在しない
塩酸は塩化水素の水溶液なのだから

食塩水 アンモニア水 ホルマリン という化合物が存在しないのと同じ
(ホルマリンはホルムアルデヒドの水溶液のこと)

要するに 塩酸 というのは混合物で
水(水素と酸素の化合物)と塩化水素(塩素と水素の化合物)
が混ざったものだ
混合物なら一定の沸点を示さないはずなのだが
20.2%の塩酸(塩化水素が20.2%)は
共沸混合物といってあたかも純物質のようなふるまいをする。
そして20.2%より薄い塩酸を加熱すると水が多く揮発し
20.2%より濃い塩酸を加熱すると塩化水素が多く揮発する。
したがって蒸留によって濃塩酸を作ることはできない。

10%以上の濃度の塩酸は毒劇法で劇物となるので売買できないが
10%未満なら劇物に該当しない
サンポール という商品名で売られているのは9.5%の塩酸
六一〇ハップと混ぜれば硫化水素が発生し
次亜塩素酸ナトリウムと混ぜれば塩素が発生するので
ホームメイドでの毒ガスの製造によく用いられていた。



(2)塩化水素1molを1ℓの水に溶かしたとき、水溶液中に塩化水素分子はどれだけあるか

答:ほとんど0 
塩化水素は水溶液中で完全に電離するのですべて塩化物イオンと水素イオンになってしまっている。
つまり塩化水素は 強電解質 であり 強酸 である。
ここで塩酸が酸性を示すのは水素イオンのせいであって塩化物イオンは関係ない
塩化ナトリウムを水に溶かせば塩化物イオンとナトリウムイオンが水溶液中に存在するがこの水溶液は中性
このとき 塩化物イオンになる というのは大きな間違い
食塩にはもともと塩化物イオンが含まれていて イオンになる のではない
これは きつねうどんになります と同じ間違い
しかし塩化水素の場合は水に溶かすと イオンになる のである