怒涛の痴畜彩17時

ハロヲタのための24のガヴォット第17番変ホ長調 欲望の循環系

塩化銅の電気分解における塩素の発生について

chisato00172009-07-01


塩化銅(II)水溶液の電気分解では
陰極で析出する銅のほうに目を 乳母我勝ち(面白いのでこのまま) になるけど
陽極で発生する塩素のほうに注目してみよう

単体の塩素というのは強い酸化剤で
天然にはほとんど存在せず
ただちに他の物質と化合して塩化物になってしまう
つまり 酸化数−1 が圧倒的に安定である

Cl2 +  2e−   →  2Cl−  


塩化銅(II)水溶液の電気分解では陽極でこの逆反応がおきる


 2Cl−   →   Cl2 +  2e−


つまり自然にはおきないような不自然な変化を
電気の力で無理やりおこしているわけだ

塩化物イオンは陽極で電子を奪われるけれど
原子の状態では存在できないので2個共有結合して塩素分子になる

これが陽極から発生してくる塩素の単体であり 黄緑色の気体(もちろん毒です)
ただかなり水に溶けるので理論値より発生する体積はかなり少なくなります。


この現象は塩化銅に限らず塩化物の水溶液ならおきるわけで
塩酸(塩化水素の水溶液)や食塩水(塩化ナトリウムの水溶液)でも
不溶性電極で電気分解すれば陽極から塩素が発生するわけです。

不溶性電極でないときは 電圧 陽極の種類 溶液の濃度 など
さまざまな条件により電極が溶け出したり塩素が発生したりするので
少なくとも入試の題材として使われることなないはず


あと陽極付近が酸性になることが多いけど
これは発生した塩素が水に溶けて塩酸と次亜塩素酸が生成するためだろう
厳密には酸素の発生も考える必要もあるのかもしれないけど
大学入試レベルではまず塩素の不均化のほうを答えればいいと思う